毎日十分な量の野菜を食べたいと思っていました。でも忙しいとなかなか難しいんですよね。元々味噌汁を食べる習慣はあったので、たっぷりの味噌汁を作り置きするということも考えたのですが、大量の味噌汁を作るということはすなわちその分多くの味噌を使わなければならないということ。それもそれで塩分量が気になり躊躇していました。
ハーバード大学式いのちの野菜スープの存在を知ったのはそんなときのことです。調味料は何もいらない、ただキャベツ、にんじん、玉ねぎ、かぼちゃの4つの野菜を切り、たっぷりの水で20分煮るだけ、それでOK。普通ならえ~?絶対美味しくないじゃん!となるけれど、何しろ名前がカッコいい。それにお医者さまが考案されているというのが説得力マシマシ。そう、これは調味料を入れ忘れた野菜の味なし汁ではないのですぞ!
というわけで、さっそくこのスープを我が家の食卓に取り入れることにしました。最初はちょうどどの野菜も家にあったということもあり、その通りに作っていましたが、段々とアレンジして作るように。基本的にキャベツ、玉ねぎ、にんじんはレギュラーメンバーですが、かぼちゃは時期によって手に入りにくいため、別の野菜に置き換わることも多いです。それからたまたま梅干しを入れたらほんのりと酸味と塩味がついてとても美味しかったので、梅干しを入れることも多くなりました。
こんな風にして、我が家は毎朝なんでもいいから800gの野菜でスープを作り、朝はそのままで、昼は在宅勤務の夫の昼食に、夜は少しの出汁を加えて味噌汁にして食べるという習慣ができました。ちなみに私も以前はスープジャーで持って行っていたのですが、あるときスープジャーなしの弁当にしたら、荷物が嵩張らず、洗い物もラクだったので、それからはやめてしまいました。どうしようもないズボラ人間ですね……。
朝作った野菜スープは、時間がたつと旨味が溶け出してきて、夜にはとびきり美味しい味噌汁ができあがります。こどもも以前ほど味噌汁を嫌がらずに食べるようになりました。それから後で知ったのですが、副腎から分泌されるアルドステロンという血圧を上げるホルモンは、夜より朝に多く分泌されます。そのため朝食には塩分控えめのそのままで、夕食には味噌と出汁を加えて味噌汁でいただくというこのスタイルは血圧にもちょうどいいようです。
いいことはこれだけではありません。朝仕込んでおけば、夕食のおかずがすぐに一品出来上がるというのは本当に助かります。特に我が家は夫がよく食べるので、汁物があるのとないのとでは満足度やボリュームが全然違います。夕食はできるだけヘルシーにいきたいところ。そこに野菜たっぷりでボリュームもある料理があるのはとても嬉しいですよね。何も作る時間も気力もない時は豚肉を入れて豚汁にして済ますこともできるし、ルーを入れればあっという間に野菜の旨味たっぷりのカレーやシチューが完成しちゃいます。
朝もスープを飲むことで身体がとても温まるんです。一度寒い冬の日にスープを飲まずに出かけたら、1日中身体が冷えて冷えて、飲まずに出かけたことを非常に後悔したことがありました。野菜の栄養だけではない、スープを飲む、ということ自体にも価値があるのだと思い知らされた出来事でした。スープがないと身体の調子が狂う感じがするのは気のせいではないのではないかしら。
そういうわけで、私はハーバード大学式いのちの野菜スープに救われ、これからもずっと救ってもらうつもりでいます。滋味深いけれど軽やかなその味に、いつも、別に、これでいいんだよって、励ましてもらいながら。